Making notes

制作ノート

2023年6月18日付けの企画書「電子楽器漫画制作案」と、そのころの設定メモから。完成した漫画とは違う初期案も、そのまま載せています。

電子楽器漫画制作案

20236.18

コンセプト

電子楽器を好きになれ!

音楽そのものでも演奏でもなく電子楽器に救われる物語。

物語の魅力

音楽の物語の多くは、演奏者のようなフィジカルセンスのある人々が主人公である。しかし、楽器ができなくても、自らの創造性と探究心で音楽に関われる世界がある。それは150年の劇的な歴史があり、現代の音楽を支えている。電子楽器の世界である。電子楽器と部活動を通して、主人公たちが成長していく物語。

Target

誰に読んでほしいか

企画書では、読者をどう想定するかから考えています。ここで設定した動機づけ(インセンティブ)の要素を物語に組み込んで、読者を獲得するフックにする、という方針です。

万人受けを狙わない

万人受けを狙うということはターゲットを絞らないことと同義であり十分な検討がなされてない

ニッチはOKだが、ターゲットを絞りすぎない

音楽関係者のみの内輪的作品、専門性が高すぎる場合、読者が増えない。普遍的な面白さがあれば、ニッチさはそれほどネガティブに働くことはない。

ユーザインセンティブユーザ数プライオリティプライオリティの理由
音楽制作者、楽器制作、演奏者自分の知識と経験と作品との共感少ない◯当たり前の知識しかないため
初学者学習と興味関心少ない◎電子楽器を知らない人も興味を持ってもらう要素を多く含むため
マンガ・物語全般が好き今までにない題材のマンガである最も多い△題材は希少だが、飛び抜けた設定などはないため
学園・部活ものが好きチームで問題を解決したり別チームとの対立が見れる一定数◎個性的なメンバーや生徒会とのやり取りがあるため
百合が好き女の子同士の関係性が見れる一定数◎主人公が先輩を好きであることが推進力のひとつのため
成長物語・人間関係が好き主人公がコンプレックスと向き合い成長していく姿が見れる多い◎主軸のため
新しい知識と視点が好きあまり知られていない分野の知識が得られる少数◯電子楽器の知識が得られる
ドラマやロマン、サスペンスが好きあまりない多い✕学園モノなので劇的ではない
絵が好き素敵・参考になる絵作り少数✕絵の巧さや複雑さを期待できないため

コンセプトとしては主人公が電子楽器と関わることで心が救済されていくことを主軸とし、次点で初学者(音楽、楽器、電子楽器などに興味のある人)と学園百合好きに喜ばれるような要素を漫画に織り込んでいく。

Title

タイトルができるまで

「伝え!電子楽器倶楽部(デンガクラブ)AMBER MAGIC ORCHESTRA」「デンガクラブ 電子楽器倶楽部」「AMBER MAGIC ORCHESTRA」のロゴ案
タイトルの雰囲気確認用

ほしい要素

  • キャッチーさ
  • 覚えやすさ
  • 読みやすさ
  • 勢いがある
  • 電子楽器と関連がある

初期案

伝え!電子楽器倶楽部(デンガクラヴ)~Amber Magic Orchestra~

デンガクラヴ:電子楽器倶楽部と電子楽器ラブをかけたダジャレ。デンガクだと電子音楽も電気楽器も含みそうな略し方だが、まあそれもいいかもしれない。田楽と勘違いされると困る。

Amber Magic Orchestra:アンバーマジックオーケストラ。みんな大好きYMOのオマージュ。Amberは琥珀。主人公の名前と同じ。電子楽器は英語でElectronic Musical Instrumentだが、Electronicの語源Elektronは琥珀のこと。電子の魔法のオーケストラ、といったところか。

Presetsタイトル案 25 本

  1. 01デキアイ電子楽器愛と溺愛、出来合い。既にある物について語るので。採用
  2. 02伝え!電子楽器倶楽部そのまんま採用
  3. 03デンガクラブ電子楽器倶楽部の略。電子楽器愛。
  4. 04コハクラブ琥珀と倶楽部。電子楽器愛。
  5. 05コハクラブを抜いた
  6. 06Amber Magic OrchestraYMOオマージュ。電子楽器が魔法みたいだから。
  7. 07昨日伝えてくれますか過去、現在、未来
  8. 08飴でもなめて歩きませんか琥珀が飴色なので
  9. 09未だコーパル未熟な琥珀はコーパルなので
  10. 10琥珀街道まっしぐら琥珀を運んだ貿易の道から
  11. 11バーンシュタイン通ります琥珀街道のドイツでの呼び名
  12. 12エレパラエレクトロニック・パラダイス
  13. 13エレクロエレクトロニック・インストゥルメント・クロニクル
  14. 14くんのこ琥珀の方言
  15. 15コハクマロシアの琥珀の間。きれい。
  16. 16琥珀色ダイアリー琥珀の日誌
  17. 17電子回生起死回生の掛詞
  18. 18デンメイ電鳴楽器
  19. 19電子爛漫天真爛漫の掛詞、電子=琥珀、電子楽器が爛漫な様子。
  20. 20アンバイアンバー+塩梅。
  21. 21電子相伝一子相伝の掛詞。歴史を追うので。
  22. 22デキレバ出来れば
  23. 23デンカイ電解、電界、電子楽器の世界
  24. 24ピピビビ!矩形波と鋸歯波の音。電子楽器の特徴的な音。
  25. 25トランジスタ・ラダー・レゾナンス「トランジスタ・ラダー回路による共振」みたいな意味。複数の一次フィルタを部員にみたて、大きな共振をうむ様。難しすぎるのでなしの方向で。
タイトルを考えたときの関連ワード(59語)
  • 電子楽器
  • エレクトロニック
  • 電子
  • 琥珀
  • コハク
  • 倶楽部
  • クロニクル
  • ダイアリー
  • アンバー
  • オーケストラ
  • 部活
  • 原石
  • 鉱石
  • ソリッドステート
  • 素子
  • トランジスタ
  • 学園
  • 青春
  • シンセサイザー
  • シンセシス
  • 合成
  • MIDI
  • ミディアム
  • ミドル
  • 仲介者
  • 率いる
  • 伝える
  • ストラクチャ
  • テクノドン
  • ジェネレーター
  • エボルブ
  • 紫電一閃
  • 電光朝露
  • テクノロジー
  • 太陽の輝き
  • 共振
  • 共鳴
  • レゾナンス
  • ハブ
  • スイッチ
  • エコー
  • 浮声切響
  • 温故知新
  • 百花斉放
  • 百家争鳴
  • 電鳴
  • 物換星移
  • 以心伝心
  • 天真爛漫
  • 天地無用
  • 塩梅
  • ヘルムホルツ
  • 飴色
  • 石
  • 琥珀糖
  • コーパル
  • スーキヌム
  • 琥珀街道
  • ビープ
Names

名前の由来

5人の名前は、日本の電子楽器を作ってきた人たちから取っています。

全話のサブタイトルに「琥珀(アンバー)」が入っている理由は、SIGNAL11 の作者解説で →

作者のメモより

楽器や電子楽器開発者に因んだ名前にするのが常套なので、まずはそこから考える。技術者じゃないアーティストの名前はできれば使わない。

電子楽器研究会のメンバーを引用するのはいいアイデアかもしれない。

電子楽器研究会:昭和30年代に設立された団体。まとめ役は則安治男(泉たかし)、クロダトーン黒田一郎、テスコ松本富三(浮間栄一郎)、ローランド梯郁太郎、KORG三枝文夫(伴朱多院)、など錚々たるメンバーだった。

三枝 琥珀の顔

三枝(みつえだ)琥珀(こはく)

  • 三枝文夫KORGの技術者。KORG 試作一号、1970年KORG 700シリーズ、MS-20の開発者。
  • Elektron電子(Electronic)の語源。ギリシャ語で琥珀。

三枝文夫と電子(Electronic)の語源、ギリシャ語のElektron(琥珀)から。

主人公が一番悩むが、三枝文夫で良いか。

初期設定高1女子。新入生。勢いがあり、頑張りやさん。ハッキリ物を言う。音楽に興味はなかったが、先輩を通して電子楽器同好会に興味を持つ。

桟 郁音の顔

桟(かけはし)郁音(いくね)

初期案の表記:梯 郁音

  • 梯郁太郎Roland設立者。TR-808開発者。MIDIのゴッドファーザー。

郁はかぐわしい、文化が盛んな様で、先輩のイメージにもあっているので残す。多彩な音が色んなところから響いてくるような豊かさを持ってほしいという祖父の命名。

先輩は、梯郁太郎でどうだろう。菊本の先輩だし。世界の電子楽器史でも重要な人物だ。

初期設定高2女子。同好会の唯一のメンバー。電子楽器が大好き。寡黙だが、電子楽器の話題になると饒舌になる。美人。実は本質的に怠惰。

喜久本 照の顔

喜久本(きくもと)照(てる)

初期案の表記:菊本 照

  • 菊本忠男Rolandの技術者。TR-808、TB-303などの名機開発の功労者。
  • レオン・テルミン1928年にテルミンを発表。

菊本忠男とレオンテルミンの合体。明るく周りを照らすような人になって欲しいというシンプルな理由で両親が命名。

主人公のクラスメイトは、菊本忠男で決まり。電子工作は好きだけど、音楽には興味がないまま電子楽器を作り始めたので。

初期設定高1女子。主人公のクラスメイト。ゆるふわ。食べることと電子工作が好き。音楽に興味はない。

則安 沙緒の顔

則安(のりやす)沙緒(いさお)

  • 則安治男電子楽器研究会のまとめ役。
  • 冨田勲『Snowflakes Are Dancing』(1974)。

則安治男と冨田勲の合体。沙(いさご)は細かい砂のこと。緒(いとぐち)は物事の起こり。小さなことやチャンスから大きなものにつなげられるようにという母の命名。

先輩の同級生は、則安治男か冨田勲。則安が演奏者でもあったから、則安で良いかもしれない。

初期設定高2女子。先輩の友人。音楽に詳しい。軽音楽部に所属していたが、周囲がコアな話についてこれず、馴染めなかったため退部。

黒田 銀子の顔

黒田(くろだ)銀子(ぎんこ)

  • 黒田一郎教会用の電子パイプオルガンやクロダトーンのような高級志向の商品を作っていた。

常に1番を目指せるように、常に2番目であるという意識を持てという父の命名。しかし、銀は金の下の価値であると思われるが、伝導率については金や銅よりも上、どこかで一番になれればそれで十分という隠された意味もある。が、銀子本人は気づいていない。

生徒会メンバーは、黒田一郎か。……なんとなく豪奢なイメージ。

初期設定高2女子。生徒会メンバーのお嬢様。完璧を期待されている。主人公が同好会を訪れた際に、先輩に部室明け渡しを告知する。

電子楽器を語る上でYAMAHAの存在も欠かせないのだが・・・大きな楽器メーカーだったゆえか開発者個人の名前が表に出てくることがないのである・・・。無念。

Early designs

初期キャラクターデザイン

2023年6月のキャラクタービジュアルデザインから。名前の表記は初期案のままです。

喜久本照、三枝琥珀、桟郁音、則安沙緒、黒田銀子の5人が身長の目盛りの前に並んだ全身の設定画
キャラクターたち(身長比較)
名前の書き文字と一緒に描かれた琥珀と郁音
三枝琥珀と梯郁音
はんだごてを持って見上げる照
菊本照
シンセサイザーを弾く郁音と、稲妻の中で目を輝かせる琥珀
琥珀と郁音
黒板に KYB → VCO → VCF → VCA の図を書いて説明する琥珀と、なるほどと頷く照
黒板で説明する琥珀と照
頭を抱えて目を回す琥珀のラフ
琥珀
郁音の肩に手を置いて微笑む沙緒
郁音と沙緒
History

企画から第1話まで

作者のタスク表から、2023年の企画と第1話の制作の流れです。

  1. 2023.06.07–06.11キャラクター設定/ストーリー概要/マーケットとターゲットの検討
  2. 2023.06.12–06.18ストーリー&各話構成/キャラクタービジュアルデザイン
  3. 2023.06.18企画書「電子楽器漫画制作案」
  4. 2023.06.23–07.04第1話 ネーム
  5. 2023.07.04–07.31第2話・第3話 ネーム
  6. 2023.08.01–09.09第1話 ペン入れ&仕上げ
  7. 2023.09.09–09.27第1話 校正